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投稿者 | スレッド |
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webadm | 投稿日時: 2008-10-9 11:06 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
回路網解析と基本諸定理演習 さていよいよ上巻も残すところ三分の一に迫った。
さっさと終わって下巻に進みたいところ。 回路網理論を学ぶと、ちょっぴり電子回路理論を学ぶための基礎ができたような感じがする。 本屋で参考書をいろいろ見ると、電子回路の本でも最初に回路網理論の基礎だけはおさらいしている。電子回路の場合には、非線形デバイスが使われるので厳密には線形回路ではないのだが、限られた条件下では線形回路網理論が応用できる。ほとんどの市販の電子回路設計の参考書は読者が予めそうした基礎を学んでいることを暗黙の前提としているので、いきなり電気を勉強せずに電子回路を学ぼうとしても無理がある。やっとなんというか念願だった、トランジスタが複数接続された回路の解析のやり方が見えてきたように思える。途中休み休みだったとはいえ長い道のりだった。 もちろん電子回路解析や設計となると、これから学ぶことになる理論も知っていないと話にならない。また戻って勉強しないといけないことになるのでここはぐっとこらえて知識をつなげていこう。 最終的には電気の理論の本当の裏付けになっている電磁気学をマスターする必要があるが、それま下巻をマスターした後の楽しみとしよう。電磁気学も個人的に興味があるのは、最後の変動する電場と磁場の理論なのだけど、いきなりそれだけ理解するということは無理なはなしで、やはり基礎となる静電場や静磁場の理論から入っていく必要がある。その前にベクトルとテンソルに関する数学もおさらいする必要がある。学校で物理学の授業を受けた人であれば数学でベクトルとテンソルや波動方程式とかもやっているはずだが、普通はすっかり忘れてしまうだろう。実は電気でも重要な意味を持つのだが、それは学生の頃には教えてもらっていないか、忘れてしまったに違いない。 ざっと演習問題を眺めると、既に理論を学んだ時にやってしまった証明問題とかがあるので、それらはスキップすることにしよう。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-16 9:52 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【1】網目方程式 最初の問題は2つの交流電源を持つインピーダンスの梯子回路に関して網目方程式を立てよというもの。
閉回路の数=岐路数-(節点数-1) 回路上の節点は E1,Z2,Z4,E2を結ぶ共通の節点 E1,Z1を結ぶ節点 Z1,Z2,Z3を結ぶ節点 Z3,Z4,Z5を結ぶ節点 Z5,E2を結ぶ節点 の5つ 岐路数は節点間をつなぐ素子の数で7 従って 閉回路数=7-(5-1) =3 ということになる。 それぞれの閉回路を流れる電流をI1,I2,I3とすると (Z1+Z2)*I1-Z2*I2=E1 (Z2+Z3+Z4)*I2-Z2*I1-Z4*I3=0 (Z4+Z5)*I3-Z4*I2=-E2 が成り立つ。これらを行列で表すと I=(I1,I2,I3) E=(E1,0,-E2) Z=([Z1+Z2,-Z2,0],[-Z2,Z2+Z3+Z4,-Z4],[0,-Z4,Z4+Z5]) Z*I=E と表される。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-16 10:46 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【2】網目方程式(その2) 次ぎも網目方程式に関する問題だがいきなり難問である。
I1+2*I2+3*I3=4 5*I1+6*I2+7*I3=8 9*I1+10*I2+11*I3=11 と見た目はそれらしい網目方程式のI1,I2,I3を求めよというもの。また解けない場合にはその理由と物理的な意味について考えよというもの。 網目方程式を行列で表すと I=(I1,I2,I3) E=(4,8,11) Z=([1,2,3],[5,6,7],[9,10,11]) Z*I=E と表される。 Maximaで解いてみると (%i1) e1:I1+2*I2+3*I3=4; (%o1) 3*I3+2*I2+I1=4 (%i2) e2:5*I1+6*I2+7*I3=8; (%o2) 7*I3+6*I2+5*I1=8 (%i3) e3:9*I1+10*I2+11*I3=11; (%o3) 11*I3+10*I2+9*I1=11 (%i4) solve([e1,e2,e3],[I1,I2,I3]); Inconsistent equations: (3) -- an error. To debug this try debugmode(true); となって解けない。 インピーダンス行列を良くみると第一行の要素にすべて4を加えたものが第二行と等しく、8を加えたものが第三行と等しいことがわかる。 Z=([1,2,3],[5,6,7],[9,10,11]) =([1,2,3],[1+4,2+4,3+4],[1+8,2+8,3+8]) 行列の一つの行が2つの行の和になっているときその行列式の値は、その行をそれぞれの行に置き換えた行列の行列式の和で表される。 |Z|=|[1,2,3],[1,2,3],[9,10,11]|+|[1,2,3],[4,4,4],[9,10,11]| =|[1,2,3],[1,2,3],[1,2,3]|+|[1,2,3],[1,2,3],[8,8,8]|+|[1,2,3],[4,4,4],[1,2,3]|+|[1,2,3],[4,4,4],[8,8,8]| また同じ行もしくは列を持つ行列式の値は0となることから、それぞれの行列式の値は0である。従ってこのインピーダンス行列Zの行列式の値も0となってしまうためこの網目方程式は解けない。 とするとこれは物理的にどういう意味だろう? わかんねー と眠れずに考えていたら驚愕の事実が明らかに 著者の解をちらっと見るとI3をxと置いて2つの方程式だけを使ってI1,I2を求めている。それによると I1=-2+x I2=3-2*x ということで任意のxに対してI1,I2が一意的に決定するということで閉回路は2つしかなく無理矢理3つ目の閉回路とそれを流れる電流を仮定して式を立てたのが原因であるとしている。 しかしこのI1,I2を第三の式に代入してみると 9*I1+10*I2+11*I3=11 =9*(-2+x)+10*(3-2*x)+11*x =-18+9*x+30-20*x+11x =-18+30+(9-20+11)*x =12 なんと 11=12 と矛盾した結果になってしまう。 つまり本当は第三の式は 9*I1+10*I2+11*I3=12 でなければならない。誤植発見。 そうすると第三の式は第二の式を2倍したものから第一の式を差し引いたものと等しいことになる 2*(5*I1+6*I2+7*I3=8)= 10*I1+12*I2+14*I3=16 -) I1+ 2*I2+ 3*I3=4 ----------------------- 9*I1+10*I2+11*I3=12 ということで第三の式は第一の式と第二の式から導かれるので独立した閉回路ではないことが判明した。 そうすると実際の回路はどんなものが考えられるだろうか? わかんねー 悩み続けてようやく糸口のようなものが見えてきた。 まず閉回路の数をl,岐路の数をb、節点の数をnとした場合 l=b-(n-1) という関係があることは既に承知の通り。 l=2となるには最低条件b=5,n=4でないといけない。 これは回路にすると この回路の方程式は (Z1+Z3)*I1+Z3*I2=E1 Z3*I1+(Z2+Z3)*I2=E2 となる。これを行列式で書き直すと Z=([Z1+Z3,Z3],[Z3,Z2+Z3]) I=([I1],[I2]) E=([E1],[E2]) Z*I=E これに対して問題の方程式をI3=0とした場合 I1+2*I2=4 5*I1+6*I2=8 9*I1+10*I2=12 これらの式から任意の2式を使って同様に行列式表現にしてもインピーダンス行列が非対称行列となってしまう。 そこで対称行列になるように片方の式を整数倍しても式としては成り立つので第一の式を5倍し第二の式を2倍して 5*I1+10*I2=20 10*I1+12*I2=16 行列式に直すと ([5,10],[10,12])*([I1],[I2])=([20],[16]) ということになる。従ってこれを先の回路に適用すると Z1+Z3=5 Z3=10 Z2+Z3=12 E1=20 E2=16 ということになり、Z1,Z2,Z3について解くと (%i2) solve([Z1+Z3=5,Z3=10,Z2+Z3=12],[Z1,Z2,Z3]); (%o2) [[Z1=-5,Z2=2,Z3=10]] Z1=-5 Z2=2 Z3=10 ということになる。 こうした解は無数に存在する、第二の式を2倍して第三の式と組み合わせると 10*I1+12*I2=16 9*I1+10*I2=12 行列式で表すと ([10,12],[9,10])*([I1],[I2])=([16],[12]) Z1+Z3=9 Z3=10 Z2+Z3=12 (%i3) solve([Z1+Z3=9,Z3=10,Z2+Z3=12],[Z1,Z2,Z3]); (%o3) [[Z1=-1,Z2=2,Z3=10]] Z1=-1 Z2=2 Z3=10 というのもまたひとつの解である。 いずれの2つもI3=0の条件なら与えられた方程式を満たすが、I3が0でない元々の方程式を満たす回路となると難しい。 そもそもI3って何だ?という疑問が出てくる。 岐路数と節点数を更に増やしても閉回路の数が2つだと基本はこれと同じ形になる。 回路から回路方程式を導くのは容易だが逆はそうではない。これは回路から回路方程式がいく通りでも(係数を掛ければ)導出できてしまうのと一緒である。 そういえば昔英国のSF TV番組「謎の円盤UFO」の一話にUFOを追跡して宇宙人の星を突き止めたという話があり、最後に撮影された写真から星の大きさを特定するという段階で撮影倍率が解らないため大きさは求められないという事実を突きつけられストレイカー司令官が愕然とするシーンで終わったのが記憶に残っている。 元々の問題の方程式の係数が1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12という連続数を割り当ててこしらえたものだと想像されるので、出題者が元の回路を予め想定していたかは疑わしい。少なくとも著者はそこまで解答で踏み込んでいないので著者も正しく問題に解答しているとは言い難い。 これについては読者の課題とするとともに、今後の研究課題としよう。回路網理論の奥深さを思い知らされる問題であった。 P.S 参考図書「線形回路理論」高木茂孝 著 正晃堂 には "また、節点解析から得られる行列表現においてYij=Yjiという対称性が存在するのに対して、閉路解析から得られる行列表現においては、このような対称性は存在しない。" ときっぱり言い切っている。確かに閉回路の取り方によってはそういったことにもなる、特に2つの閉回路が互いに重なり合うようにして方程式をたてるとインピーダンス行列は非対称行列となる。例えば、 図のように閉回路を設定した場合、方程式は Z1*(I1+I2)+Z3*I1=E1 Z3*I1-Z2*I2=E2 これを行列表現に直すと ([Z1+Z3,Z1],[Z3,-Z2])*([I1],[I2])=([E1],[E2]) ということになりインピーダンス行列は非対称行列となる。 問題の方程式も閉回路が互いに重なり合うという前提で考え直すと良いかもしれない。 P.S たてた方程式を良くみたら重なっているのはループ電流だけで、回路方程式自体の閉回路は独立していた。 方程式を解いてみると、実はこれでもあっているということが判明。閉路方程式はこうしたところがややこしい。見た目は独立した閉回路が3つあっても、等価回路的には2つの場合には、ループ電流変数は2つで済んだりするのは面白い。要はすべての岐路をどっかのループ電流が流れるように設定できればそれで良しということになる。いろいろバリエーションがありすぎ。 他にも検討する中で、出題の方程式のようなものが書けそうな回路を思いついたような気がしたが眉唾だった(;´Д`) |
webadm | 投稿日時: 2008-10-21 16:23 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【3】網目方程式(その3) 次ぎも網目方程式の応用問題。ちょっとひねったブリッジ回路の並行条件を閉路解析を利用して導けというもの。
著者が設定した閉回路とは違った設定で解いてみよう。 以下の関係式が成り立つ (Q1+1/jωC)*I1-Q1*I2-I4/jωC=E -Q1*I1+(Q1+P+jωL+R+S+Q2)*I2+(R+S)*I3-(S+Q2)*I4=0 (R+S)*I2+(R+S)*I3-S*I4=0 -I1/jωC-(S+Q2)*I2-S*I3+(Q2+S+1/jωC)*I4=0 これを行列表現に直すと ([Q1+1/jωC,-Q1, 0, -1/jωC], [-Q1, Q1+P+jωL+R+S+Q2,R+S, -(S+Q2)], [0, R+S, R+S, -S], [-1/jωC, -(S+Q2), -S, Q2+S+1/jωC]) *([I1],[I2],[I3],[I4])=([E],[0],[0],[0]) これをI3についてクランメールの公式によって求めると I3=(1/Δ)* |[Q1+1/jωC,-Q1, E, -1/jωC], [-Q1, Q1+P+jωL+R+S+Q2,0, -(S+Q2)], [0, R+S, 0, -S], [-1/jωC, -(S+Q2), 0, Q2+S+1/jωC]| 平衡時にI3=0となるためには、E=0, Δ≠0である場合右辺の行列式の余因子が |[-Q1, Q1+P+jωL+R+S+Q2, -(S+Q2)], [0, R+S, -S], [-1/jωC, -(S+Q2), Q2+S+1/jωC]|=0 となることが条件となる。 行列式展開を簡易にするために、2列に3列を加えたものを新たに2列としても行列式の値は変わらないので |[-Q1, Q1+P+jωL+R, -(S+Q2)], [0, R, -S], [-1/jωC, 1/jωC, Q2+S+1/jωC]|=0 更に2列をS倍、3列をR倍して3列に2列を加えて新たに3列にしても行列式の値は変わらないので |[-Q1, S*(Q1+P+jωL+R), -R*(S+Q2)], [0, S*R, -S*R], [-1/jωC, S*(1/jωC), R*(Q2+S+1/jωC)]|= |[-Q1 S*(Q1+P+jωL+R), S*(Q1+P+jωL+R)-R*(S+Q2)], [0, S*R, 0], [-1/jωC, S*(1/jωC), S*(1/jωC)+R*(Q2+S+1/jωC)]|= |[-Q1, S*(Q1+P+jωL+R)-R*(S+Q2)], [-1/jωC, S*(1/jωC)+R*(Q2+S+1/jωC)]|*S*R 従って |[-Q1, S*(Q1+P+jωL+R)-R*(S+Q2)], [-1/jωC, S*(1/jωC)+R*(Q2+S+1/jωC)]|=0 が条件となる。行列式を展開すると -Q1*(S*(1/jωC)+R*(Q2+S+1/jωC))-(-1/jωC)*(S*(Q1+P+jωL+R)-R*(S+Q2))= -Q1*R*(Q2+S)-Q1*(S+R)/jωC+(1/jωC)*(S*(Q1+P+R)-R*(S+Q2))+S*L/C= -Q1*R*(Q2+S)+S*L/C+(S*(Q1+P+R)-R*(S+Q2)-Q1*(S+R))/jωC= S*L/C-Q1*R*(Q2+S)+(S*P-R*(Q1+Q2))/jωC 従って平衡条件式は、 S*L/C-Q1*R*(Q2+S)+(S*P-R*(Q1+Q2)/jωC=0 実数部と虚数部がそれぞれ0となる必要から S*P-R*(Q1+Q2)=0 ∴R*(Q1+Q2)=SP S*L/C-Q1*R*(Q2+S)=0 ∴L=C*Q1*R*(Q2+S)/S ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-21 19:54 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【4】網目方程式と節点方程式 次ぎの問題は同一の回路に対する網目方程式と節点方程式をそれぞれたてよというもの。
網目方程式は閉回路をどう設定するかによって同じ回路でも様々となる。著者の設定した閉回路とは異なる設定で方程式を立ててみる。 (2+10+4)*I1-(2+10)*I2-10*I3=0 -(2+10)*I1+(2+10+5)*I2+(10+5)*I3=6 ここでI3は電流源から流れる電流なので2で確定なのでI1,I2の閉回路のみで十分。 16*I1-12*I2-20=0 ∴16*I1-12*I2=20 -12*I1+17*I2+30=6 ∴-12*I1+17*I2=-24 これをI1,I2について解くと (%i20) solve([16*I1-12*I2=20,-12*I1+17*I2=-24],[I1,I2]); (%o20) [[I1=13/32,I2=-9/8]] 著者の解ではI1は2Ωに流れる電流なので、こちらの解だと2Ωに流れる電流はI1-I2となるので13/32+36/32=49/32となり一致する。 (%i11) solve([16*I1+4*I2=20,4*I1+9*I2=-4],[I1,I2]); (%o11) [[I1=49/32,I2=-9/8]] I2については電圧源から流れる電流なので一致している。 続いて節点方程式はコモン端子をCに設定しA,B,Dの各節点の電圧をEa,Eb,Edとすると (1/2)*Ea+(1/10)*(Ea-Eb)=-2 (1/10)*(Eb-Ea)+(1/4)*Eb+(1/5)*(Eb-Ed)=0 Ed=6Vと確定しているので (1/2)*Ea+(1/10)*(Ea-Eb)=-2 (1/10)*(Eb-Ea)+(1/4)*Eb+(1/5)*(Eb-6)=0 これをEa,Ebについて解くと (%i21) solve([(1/2)*Ea+(1/10)*(Ea-Eb)=-2,(1/10)*(Eb-Ea)+(1/4)*Eb+(1/5)*(Eb-6)=0],[Ea,Eb]); (%o21) [[Ea=-49/16,Eb=13/8]] Eaは先に網目方程式で求めた2Ωに流れる電流による電圧降下と等しく、Ebは4Ωに流れる電流による電圧降下と等しいことが確認できる。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-23 13:42 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【5】RC結合形FET増幅回路 次ぎは電子回路の等価回路を用いた解析問題。
図は電子回路の参考書に必ず登場するおなじみの接合型FET一石ソース接地型増幅回路。 上の電子回路と下の等価回路の対応では題意上無視できる部分は省かれている。Ccはカップリング・コンデンサ(もしくはキャパシタ)、Rgはゲート抵抗、Rsはソース抵抗、Csはソースバイパスコンデンサ、Rlは負荷抵抗、Rgは次段のゲート抵抗、Ciは次段の入力容量と思われる。 入力段のCcとRgはDCブロッキングとハイパスフィルタとして機能する、またRsはゲートソース間バイアス電圧へのフィードバック回路を生成する、それらは題意には関係ないので等価回路では簡略化のため省略されている。FETは相互コンダクタンスgmとゲートソース間入力電圧E1の積で決まる定電流源と内部ソース・ドレイン間抵抗Rdそれに出力容量Coが並列接続された等価電源回路に置き換えられている。それに負荷抵抗Rlが接続され、負荷の電圧降下がカップリングコンデンサCcを介して次段のゲート抵抗と入力容量に接続される。 題意はこの回路の増幅率A=E2/E1を求めよというもの。 E1は与えられているので、E2をE1で表しそれをE1で割る必要がある。 等価回路はgmE1の定電流源のみを備える線形回路網と見なせば、回路方程式を立てることによって各部の電圧は導くことができるはず。 問題は網目方程式だと独立した閉回路が多いとそれだけ方程式の数が増えるのと閉回路の設定が幾通りも考えられるのでややこしい。一般に電子回路の解析にはSPICEなどの回路シミュレーターのようにコモン(グラウンド)となる節点を定めれば機械的に方程式がたてることのできる節点方程式を用いて解析するのが普通である。 節点方程式では素子が並列に接続されている場合、それらは全部で一つの岐路(素子)として扱う。従って上の等価回路の節点数nは3つなので、必要な方程式の数はn-1=2ということになる。 節点Cをコモン端子とし、節点AとBのそれぞれのコモン端子からの電圧をそれぞれEA,E2とすると以下の関係が成り立つ (1/Rd+jωCo+1/Rl)*EA+jωCc*(EA-E2)=-gmE1 (1/Rg+jωCi)*E2+jωCc*(E2-EA)=0 行列表現に直すと ([1/Rd+jωCo+1/Rl+jωCc,-jωCc], [-jωCc,1/Rg+jωCi+jωCc])*([EA],[E2])=([-gmE1],[0]) これをE2について解くと E2=(1/Δ)*|[1/Rd+jωCo+1/Rl+jωCc,-gmE1],[-jωCc,0]| =(1/Δ)*gmE1*(-jωCc) ここで Δ=|[1/Rd+jωCo+1/Rl+jωCc,-jωCc],[-jωCc,1/Rg+jωCi+jωCc]| =(1/Rd+jωCo+1/Rl+jωCc)*(1/Rg+jωCi+jωCc)-jωCc*jωCc =(1/Rd+1/Rl+jω*(Co+Cc))*(1/Rg+jω*(Ci+Cc))+ω^2*Cc^2 =(1/Rd+1/Rl)*(1/Rg)-ω^2*(Co+Cc)*(Ci+Cc)+ω^2*Cc^2+jω*((Co+Cc)*(1/Rg)+(1/Rd+1/Rl)*(Ci+Cc)) 従って増幅率は A=E2/E1=(1/Δ)*gm*(-jωCc) =gm*(-jωCc)/((1/Rd+1/Rl)*(1/Rg)-ω^2*(Co+Cc)*(Ci+Cc)+ω^2*Cc^2+jω*((Co+Cc)*(1/Rg)+(1/Rd+1/Rl)*(Ci+Cc))) =-gm*ωCc/(ω*((Co+Cc)*(1/Rg)+(1/Rd+1/Rl)*(Ci+Cc))-j*((1/Rd+1/Rl)*(1/Rg)-ω^2*(Co+Cc)*(Ci+Cc)+ω^2*Cc^2)) ということになる。これは複素表現なので実効値に直すと |A|=|E2|/|E1| =gm*ωCc/sqrt((ω*((Co+Cc)*(1/Rg)+(1/Rd+1/Rl)*(Ci+Cc))^2+((1/Rd+1/Rl)*(1/Rg)-ω^2*(Co+Cc)*(Ci+Cc)+ω^2*Cc^2)^2) ということになる。 Rgが∞で1/Rg=0、Ci,CoがCcに比べて十分無視できる程小さいと見なせる場合には、 |A|=gm*ωCc/sqrt((ω*(1/Rd+1/Rl)*Cc)^2) =gm*ωCc/ω*(1/Rd+1/Rl)*Cc =gm/(1/Rd+1/Rl) =gm*Rd*Rl/(Rd+Rl) 従って相互コンダクタンスと負荷抵抗それに内部ソース・ドレイン間抵抗による式で近似される。 ここからは余談だが、真空管の時代にはgm*Rd=μなる関係から A=μ*Rl/(Rd+Rl) と記載されていた記憶がある。 中学生の頃に本屋で真空管回路の設計本を買って勉強した頃にこの式が書かれていたことを思い出した。今ではそうした真空管をベースにした電子回路の設計本は中古でも見つけるのは困難である。ギターアンプとかには真空管の柔らかい歪みが格別である。 この問題は元々は真空管の回路をそのままFETに置き換えたものと想像される。真空管の時代にはこうした解析方法が用いられていたのかもしれないが、バイポーラトランジスタではベースに流れる入力電流が真空管と違って無視できないため後に学ぶ2端子対回路とhパラメーターを用いた解析方法が広まり、行列式の展開式に相当する部分はhパラメータ値で置き換わるため式はもっと単純化される。 CQ出版のアマチュア向けのトランジスタ回路の設計指南書「定本トランジスタ回路の設計」ではオームの法則とキルヒホッフの法則のみで説明している。しかしそれ以外の方法がまったく無いかのような記述は読者をミスリードすると思われる。あくまでアマチュアに始まりアマチュアで終わる読者向けと割り切る必要があるだろう。プロになるべく大学で電気回路を学ぶ人は、しっかり回路網理論に基づいた電子回路解析方法を教わるのでおそらくアマチュア向けの本を読むことは無いというのが前提にある。定本の著者もそうして学んだ上でCQ出版社からの無理難題を引き受ける形で回路網理論や等価回路によらない方法を用いたと後書きで記している。正統な理論を知った上でならプロでも使える方法かもしれない。 こうして勉強しているのもいずれDSPによる信号処理で往年の名真空管の特性をエミュレートできないかという夢からだったりする。DSPによる信号処理なら真空管の偶数次の倍数の歪み特性とかを如何様にでも演算処理で加味できるはず。設定さえすれば入手困難な真空管アンプの動作を再現することができるのではないかと。既に誰か実現してしまっている可能性は大だが。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-24 11:02 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【6】LC並列共振回路 次ぎの問題はLC並列共振回路の解析。
網目方程式と節点方程式の両方でI1,I2,I3の電流値を導けというもの。 網目方程式は閉回路の設定は複数あるので、著者の解答とは異なる設定を用いることとする。 節点方程式はコモン端子が決まると一意に決まってしまうので、こちらは著者と同じ解き方になってしまうのは致し方が無い。 図の閉回路に関して以下が成り立つ (15-j10)*Ia+15*Ib=100 15*Ia+(15+j20)*Ib=100 これらを行列表現に直すと ([15-j10,15],[15,15+j20])*([Ia],[Ib])=([100],[100]) Ia,Ibについてクランメールの公式を用いて解くと Ia=(1/Δ)*|[100,15],[100,15+j20]| Ib=(1/Δ)*|[15-j10,100],[15,100]| 2行目から1行目を差し引いて新しい2行目としても値は同じなので Ia=(1/Δ)*|[100,15],[100,15+j20]| =(1/Δ)*|[100,15],[0,j20]| =(1/Δ)*100*j20 =(1/Δ)*j2000 Ib=(1/Δ)*|[15-j10,100],[15,100]| =(1/Δ)*|[15-j10,100],[j10,0]| =(1/Δ)*(-100*j10) =-(1/Δ)*j1000 ここで Δ=|[15-j10,15],[15,15+j20]| =(15-j10)*(15+j20)-15*15 =15*15+10*20-15*15-j10*15+j20*15 =10*20+j10*15 =200+j150 =50*(4+j3) ∴Ia=(1/Δ)*j2000 =(1/50*(4+j3))*j2000 =j40*(4-j3)/(4^2+3^2) =j40*(4-j3)/(16+9) =j40*(4-j3)/25 =j8*(4-j3)/5 =24/5+j32/5 =4.8+j6.4 ∴Ib=-(1/Δ)*j1000 =-(1/50*(4+j3))*j1000 =-j20*(4-j3)/(4^2+3^2) =-j20*(4-j3)/25 =-j4*(4-j3)/5 =-12/5-j16/5 =-2.4-j3.2 図より I1=Ia+Ib =4.8+j6.4-2.4-j3.2 =2.4+j3.2 [A] I2=Ia =4.8+j6.4 [A] I3=-Ib =2.4+j3.2 [A] ということになる。これは著者の解とも一致する。 一方節点方程式の場合は、Bをコモンとした節点Aの電圧をEaとした場合、節点Aに関するキルヒホッフの電流則より (1/15)*(100-Ea)+(1/-j10)*(0-Ea)+(1/j20)*(0-Ea)=0 が成り立つことになる。 整理すると (1/15)*100+(-1/15-1/j20+1/j10)*Ea =20/3+(-1/15+j/20-j/10)*Ea =20/3+(-1/15-j/20)*Ea =20/3-(1/3*5+j/4*5)*Ea =20/3-(1/5)*(1/3+j/4)*Ea 従って Ea=(20/3)/((1/5)*(1/3+j/4)) =(100/3)*(1/3-j/4)/(1/3^2+1/4^2) =(100/3)*(1/3-j/4)/(1/9+1/16) =(100/3)*(1/3-j/4)*9*16/(9+16) =100*(1/3-j/4)*3*16/25 =4*(1/3-j/4)*3*16 =4*3*16/3-j4*3*16/4 =4*16-j3*16 =64-j48 図より I1=(1/15)*(100-Ea) =(1/15)*(100-(64-j48)) =(1/15)*(36+j48) =36/15+j48/15 =12/5+j16/5 =2.4+j3.2 [A] I2=(1/-j10)*Ea =(j/10)*(64-j48) =48/10+j64/10 =4.8+j6.4 [A] I3=-(1/j20)*Ea =(j/20)*(64-j48) =48/20+j64/20 =24/10+j32/10 =2.4+j3.2 [A] ということになる。これも著者の解と一致している。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-24 11:49 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【7】線形結合 次ぎの問題は簡単な数学的な証明問題。
以下の連立方程式 y1=a11*x1+a12*x2+...+a1n*xn y2=a21*x1+a22*x2+...+a2n*xn ... yn=an1*x1+an2*x2+...+ann*xn を行列表現に直すと [y]=[a]*[x] ここに [y]=([y1],[y2],...,[yn]) [a]=([a11,a12,...,a1n],[a21,a22,...,a2n],...,[an1,an2,...,ann]) [x]=([x1],[x2],...,[xn]) [x]が[x1],[x2],[y]が[y1],[y2]としたとき、k1,k2を任意の係数とするとk1*[x1]+k2*[x2]に対する[y]がk1*[y1]+k2*[y2]となることを証明せよ。 というもの。 題意としては2つの行列[x1],[x2]に対応する[y]が[y1],[y2]として、今度はそれぞれの行列[x1],[x2]にそれぞれ係数k1,k2を乗じて加えた行列k1*[x1]+k2*[x2]に対応する[y]も同じ係数を行列に乗じて加えたk1*[y1]+k2*[y2]となることを証明せよという意味だと思われる。 これを式で表すと [a]*[x]=[a]*(k1*[x1]+k2*[x2]) 行列の結合・分配則により [a]*(k1*[x1]+k2*[x2]) =k1*[a]*[x1]+k2*[a]*[x2] ここで題意により [y1]=[a]*[x1] [y2]=[a]*[x2] であるため代入すると k1*[a]*[x1]+k2*[a]*[x2] =k1*[y1]+k2*[y2] ということになる。 簡単じゃないか。 こうした線形結合が成り立つ場合に回路は線形であると言えるのは既に学んだ通り。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-27 3:37 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【8】微少変化での線形性 次ぎの問題は回路の電圧・電流特性が非線形の場合でも微少な電圧変化の範囲であれば電圧・電流特性は線形として近似して扱うことができることを証明せよというもの。
題意では I=K*E^2 E>0 (K:定数) という典型的な非線形回路。ダイオードとかの順方向電圧と電流の関係がこれに近い。 電圧と電流の関係が高次の式であってもそれが任意の点で連続性を持っていれば、任意の点の微係数が確定し、その近辺の微少範囲に関しては微係数に比例して変化する一次式(線形)で近似できる。 任意の電圧E0における電流は I0=f(E0)=K*E0^2 E0が微少変化した際の電流の変化は I0+dI=f(E0+dE) ≒f(E0)+f'(E0)*dE ここでf'(E0)はf(E0)をE0で微分した微係数なので f'(E0)=d(K*E0^2)/dE0 =2*K*E0 従って I0+dI0=K*E0^2+2*K*E0*dE K*E0^2及び2*K*E0は共に定数なので微少な電圧変化dEに関して線形である。 |
webadm | 投稿日時: 2008-10-27 3:42 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
【9】重ね合わせの理 これは理論の際にやってしまったので割愛。
基本的な行列の加減算、分配・結合則を知っていれば数学的に自明な結果として証明できる。 |
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