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webadm | 投稿日時: 2011-5-3 7:21 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
フィルタ 最近の電気回路の参考書では割愛されることの多い古典フィルタ理論だが著者は二端子対回路の延長上として伝統的に取り扱っている。
受動素子だけで構成されるアナログフィルター理論は戦前から戦後にかけて確立したものだが、その中でも定K形フィルターは今日でも電子機器内部から不要な高調波信号がコネクタから外部に漏れ出ないようにするEMIフィルターの回路要素として登場する。回路構成が単純で適切な特性の部品を使用すれば一定の効果が得られるからである。 出張中のホテルからこれを書いているので、以前紹介したM.E.VAN.VALKENBURGの回路網解析の本を持ってきていないが、そちらにはまだ新しいかった頃の古典理論を詳しく紹介している。後日また改めて読んでみることにする。 古典フィルタ理論は二端子対回路理論で出てきた映像パラメータに基づいて設計される定K形フィルタや誘導M形フィルタに代表される。それらよりも急峻な特性を持つButterworth(欧州ではWagner)やChebyshev(欧州ではTschebyschef)特性フィルターは伝達関数に基づいて設計されもはや初等の電気回路理論で扱える範疇を超える。最近では更に状態方程式に基づいた設計法が登場し、受動素子のみからなるパッシブフィルタもオペアンプを使用したアクティブフィルタもコンピュータープログラムを利用することで理論を知らなくても設計できる時代でもある。コンピュータが小型化し高性能になったためDSPによるデジタルフィルタが必要とされる分野も広がった。これらをよく理解する上にも最も古典的なフィルタ理論を知っておくことは損はない。 パッシブフィルタで高周波用途のものは後に学ぶ分布定数回路を応用したものが未だに現役である。波長が短い高周波信号では電力損失の少ないパッシブフィルタしか使えない。分布定数回路の発端は電信の時代の海底ケーブルの特性を説明するために英国のKelvin卿が考案したRCモデル(Thomsonモデル)であるが、それにインスパイアされて現在の分布定数回路の元となったLRCモデルを解析したのがHevisideでだった。その後忘れられていたが戦後Hevisideにシンパシーを感じていたのか日本の多くの研究者や技術者によって再構成され今教えられている理論が確立したといってもよい。海外ではあまり教えられることが無いのはそのためである。 P.S ChebyshevがTchebycheff, Tchebichefと様々につづられている理由をValkenburgはその著書「Netowrk Analysis」でロシア語からドイツ語へドイツ語からフランス語へと度重なる翻訳のためであろうと述べている。Chebyschevがロシア語から英語への翻訳として最も相応しいつづりだとしている。 Chebyshevがその名前で呼ばれる特性を持つフィルタを最初に考案したと誤解する回路設計者や先生が多い。Pafuuni L.Chebyshevは電気機関車すらない蒸気機関車が全盛の時代のロシア人の数学者である。元々Chebyshev特性で特徴的な等リップル形伝達関数は、一世紀半前に蒸気機関の動力を伝える継ぎ手(リンク)の挙動を数学的に解析する際にChebyshevによって見いだした一定の多項式、今日ではChebyshev多項式と呼ばれるもののことである。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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» フィルタ | webadm | 2011-5-3 7:21 |
概説 | webadm | 2011-5-4 9:24 |
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