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webadm | 投稿日時: 2024-6-16 0:23 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
真空中の導体系一般論 前の章では真空中の点電荷、電荷分布が中心的な題材で、導体は線電荷や面電荷、静電界の遮蔽効果や静電誘導を扱うのみだった。
本章では題材を真空中の導体にシフトして電磁気学の応用に結びつく静電容量、エネルギー、静電力を扱う。 一般性の原理 電界の大きさは0から無限大まで考えられるが、あまり大きい場合には真空中であっても電子が勝手に電極から飛び出して移動し始めてしまうという非線形となってしまう。 これは金属とかのヤング率と似ていて、ある程度小さな応力範囲内では応力と伸縮率は比例するという線形性があるのと同様に、電磁気学でもある程度小さい電界や磁界では線形性が認められている。 (i)電位分布が与えられたときそれに対する電荷分布は一通りしかない これは数学的に真空中の静電場における電位分布と電荷分布の写像関係は全単射であるという意味になる。 つまり電位分布が与えられれば一意的に電荷分布も決まり、電荷分布を与えれば電位分布も一意的に定まるということになる。 (ii)各導体の電荷量が与えられたとき、導体上の電荷分布は一通りしかない というもの。この証明は後で演習問題として出てくる。 重ね合わせの原理 真空中の電界の線形性を破るような極端に大きな電荷でない限り、複数の電荷が成す真空中の一点の電位は、それぞれの電荷がその一点に成す電位の総和(重ね合わせ)が成り立つ。 導体系で各導体の電荷がQ1,Q2,...のとき電位をV1,V2,...とし、また電荷がQ'1,Q'2,...のときの電位を V'1,V'2,...とすれば、電荷がQ1+Q'1,Q2+Q'2,...のときの電位は、V1+V'1,V2+V'2,...となる。 この証明は後に演習問題として出てくる。 電位係数(coefficient of potential) 真空中に導体が複数置かれた場合に、各電荷が与えられた導体の成す電界はそれ以外の導体に誘電作用を引き起こし、導体はそれぞれ誘電作用で導体内の電位を打ち消すように導体表面に電荷分布を生じるものの導体の電位は導通しているので同じとなるはずである。 先の点電荷の電位の重ね合わせと相似的に、他の導体が成す電位によって誘電作用で電位を生じる導体の電位も重ね合わせが成り立つと考えられる。 n 個の導体があるとき、第 j 番目の導体に単位電荷を与え他の導体に電荷を与えないときの第 i 番目の導体の電位を 線形代数を用いれば、真空中に置かれた複数の導体の各電位を要素とする電位ベクトル(V)空間とそれらの電荷を要素とする電荷ベクトル空間(Q)は電位係数を要素とする座標変換行列(p)によって全単射される写像空間であることが、 で明白である。 これらをまとめると、 となる。 この証明は後の演習問題で扱う。 静電容量係数(coefficient of electrostatic capacity)・静電誘電係数(coefficient of electrostatic induction) テキストでは容量係数・誘電係数とあるが、その呼び方は一般的ではないらしく検索してもひとつも出てこない。頭に静電を付けると沢山出てくるので、そちらを使うことにした。 先の電位係数で出てきた各導体の電位の方程式を解いて、各導体に与えられた電荷を導くと、 線形代数を用いれば、真空中に置かれた複数の導体の各電荷を要素とする電荷ベクトル(Q)空間とそれらの電位を要素とする電位ベクトル空間(V)は静電容量係数と静電誘電係数を要素とする座標変換行列(q)によって全単射される写像空間であることが、 で明白である。 ここまでの結果から、先の電位係数と静電容量係数・静電誘電係数との関係は、 ということになり、電位係数と静電容量係数・静電誘電係数は互いに逆行列の要素であることが明らかとなる。 従って静電容量係数と静電誘電係数には以下の必要条件がある。 また、電位ベクトル要素の 導体系に対する相反定理(Green's reciprocity) テキストではGreenの相反定理とあるが、検索してもグリーンの定理は見つかるが、Wikipediaに痕跡があるのみで出典が不明のため一般的な相反定理と表記することにした。著者は粉ひきGreenに思入れがあるようだ。粉ひきGreenの話は前どっかで書いたよね、父親が経営する粉ひき事業を相続したものの、自身は数学の研究に夢中で実質雇った従業員に事業を委ねていた話は有名だ。それでガウスと同じ時代に歴史に残る研究成果を生み出した市井の人である。 なんの話だったっけ? ああ、相反定理ね。 日本では相反定理と定理がついているけど、実は定理とかじゃなくて関係式(方程式)なんだけどね。 ただ相反定理で検索すると、ずっと昔に電気回路理論おもちゃ箱で出てきた電気回路の相反定理とかいろいろあって混乱するのは必至。 なので著者が電磁気学分野で貢献のあたGreenの名を冠したのかもしれない。 先に出てきた容量係数とかの必要条件(対称性)も相反定理と呼ばれるぽい(単なる等号式なんだけどね)。 まず真空中に複数の導体が点在する同じ空間(同じ電位係数、静電容量係数・静電誘電係)で、各導体の電位と電荷を要素とするベクトル空間(V,Q)を考える。 同じ空間で互いに異なる電位・電荷分布のベクトル対、 この証明は後の演習問題で扱う。 静電遮蔽(electrostatic shield) 導体を他の導体で包囲して一定の電位を与えると、内部の導体を包囲した導体外部の導体と静電的に影響を受けないようにすることができる。これを静電遮蔽という。 これは電子回路の実装で良く用いられるシールドというやつだね。 特に微弱な電位の変化を扱う増幅回路(LNA)とかが外部の電磁波や電源回路からの誘導を受けると使い物にならなくなるので静電遮蔽が必須。 これも証明は演習問題で行う。 静電容量(Electrostatic capacitance) 真空中の導体系で以下の2つの静電容量が考えられる。 (1)ひとつの導体の静電容量 ひとつの導体の電位がV,電荷をQとし、他の導体をすべて接地して電位0に保つとき、その導体の静電容量は以下の様に定義される。 (2)ふたつの導体間の静電両量 第一導体にQの電荷を、第二導体に-Qの電荷を与え、他の導体をすべて接地して電位0に保つとき、第一、第二導体の電位がそれぞれ、 また第k,第l導体間の静電容量 この式の導出は演習問題で扱う。 静電容量の単位はfarad[F}(=coulomb/volt)で、1Fは実際には大きすぎるので、microfarad[uF]= 等価静電容量(Equivalent electrostatic capacitance) 先の静電容量係数・静電誘導係数を用いて、下記の等価静電容量を新たに定義すると、 導体電荷と電位の関係式は、下記のように書き換えることができる。 概念的には以下の様な図で表すと電気回路的でわかりやすい。 ![]() なんとなく狐に騙されたような気がするが、どうやって書き換えたのか考えてみた。 とどのつまり、意図的にゼロを加えるテクニックを使用したのだった(´∀` ) これは流石に演習問題では扱わない類い。 それと等価静電容量に関して検索しても静電容量に関するものばかりで該当するものは出てこなかった。手元の他の参考書も等価静電容量に関しては完全にはぶられている。 導体系のエネルギー 真空中の導体系に蓄えられるエネルギーに関する議論は、どのテキストでももれなく扱われている。昔々はじめて社会人になるために、一部上場企業の採用試験を受けた際にも電気エネルギーに関する簡単な問題(選択問題)があったのを今も覚えている。それだけ重要な概念だということだろう。 なんの話だったっけ? ああ、導体系のエネルギーね。 真空中に複数置かれた導体の電荷、電位、電位係数、静電容量係数および静電誘導係数がそれぞれ、 この導出に関しては演習問題で扱う。 静電界のエネルギー 先の導体系のエネルギー(U)は、真空中の電界と電束密度の内積を体積積分することでも表すことができる。 単位体積当たりのエネルギー密度(u)は、 導体に働く静電力 真空中で極端に大きな電界でない限り、導体系に働く静電力はバネの様に線形性(比例関係、重ね合わせの理が成り立つ)があると考えられる。 真空中の導体系に働く静電力による導体の変位、変形を表すいくつかのパラメータがあるとし、そのうちひとつのパラメータ 導出に関しては演習問題で扱う。 P.S 2025/02/11 昨年の6月に第一章を終えて第二章に入ったものの力尽きてモチベーションを失ったのと仕事が佳境に入ったので休止していたのは内緒だ。 仕事もだいぶ片付いて時間ができたので今年に入って再開したものの、途中までテキストを丸写しにしたままの投稿内容に我ながら赤面したのは内緒だ。 再度テキストの第二章を読み直して、テキストの初版が出た1970年というのはまだ線形代数が物理や工学を学ぶ学生に重要だという新しい指針が作られていた頃なので、テキストにはそれが反映されていないのは明らか。 なので線形代数の観点から見直してみたら、新しい切り口で学べることが判明し、俄然モチベーションが上がったのも内緒だ。 概要はこれだけなので、演習問題にとりかかろう。 |
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webadm | 2024-6-16 0:23 |

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