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webadm | 投稿日時: 2024-2-1 19:51 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
電気力線とGaussの定理 ふう、今朝も暖かいね(´∀` )
昨夜は暖かくてそれまでつけてたネックウォーマーの所為で汗ばむ始末(;´Д`) 風邪引かないようにネックウォーマーは外したけどね。 さて、第一章の後半に入りますよ。 前節では主にクーロンの法則がメインだったけど、後半はGaussの法則について学ぶことに。 最初に歴史的な電気力線と電束という概念をおさらいすることに。 静電気に関して注目されだした当時、万有引力がおよそ質量を持つ物質に対して力を及ぼすように、静電気は電荷を持つ物質に力を及ぼすことから同様の概念としてクーロンの法則の式が編み出されたのはもう知っているよね。 その後重力とクーロン力はまったく違う概念であることが判明するまで、色々な解釈の概念が生み出され、その代表的なのが電気力線と電束というわけ。 現在では重力場と電場(古くは電界)は別ものだけど引力に関する式は相似していることから学び始めは混乱するよね。 電気力線は、前の節で触れたように平面上に離れて置かれた2つの電荷の間の等電位(同じ電圧)の点を結ぶと等電位線というのが現れ、クーロン力は常にその等電位線と直交する方向に作用することから、等電位線に直交する線を描くとそれが電気力線ということに。 なので電気力線の任意の接線はクーロン力が働く方向と一致していることに。 単電荷の作る電場の等電位線は電荷を中心とした同心円として描かれることになり、電気力線は等電位線と直交する形で電荷を中心として放射状に直線で描かれることに。 上記の場合、電荷のある中心から離れるにつれて、電気力線の密度が低くなり、それがクーロン力と比例していることから、電気力線の密度として電束という概念が生み出されたというわけ。 |
webadm | 投稿日時: 2024-2-1 23:58 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
電気力線と電束線 前節で既に電位の勾配として登場した電界に関してその勾配の向きや方向を与える電気力線と勾配の強さを与える電束線の概念を扱うことにする。
著者は何の説明もなく、下記の式を電気力線の微分方程式だとしている。 これだけ見たら直ぐ帰宅して布団被って寝るしかないよな(;´Д`) (P.S. この微分方程式は寺沢寛一著「自然科学のための数学概論[増訂版]」の6.12 連立微分方程式が出典であると思われる。寺沢氏はどこからそれを持ってきたかというと、Maxwellの著書"A TREATISE ON ELECTRICITY AND MAGNETISM"だと思われ、Maxwellはその中の巻頭のPRELIMINARY章でM.Lameの"Traite des Founctions Innerses"にインスパイアされて電気力線や電束が満たす上の条件式の元を考えたとある。それを確認するために、最新版を購入したのは内緒だ(´∀` )、Maxwellの論文はPDFコピーが手元にあるのでそれを再度読み直した。Maxwellはベクトル解析のことは知っていたけど、自身が感銘を受けたハミルトンの四元数を用いたことを思い出した。) 前節を読み返すと、少しだけ使われている記号に関して解ってくる。 Vを電位ポテンシャルとすると、電界Eの各成分は また、電気力線の線分dl=(dx,dy,dz)を導入して、電気力線の接線の向きと線分dlは平行であることから、外積は0となる。 とういう意味だった。 実際に三次元空間での電気力線を描くとなるとこの関係式だけではどうにもならないのは明らか。 本題に戻って、電気力線とか電束線という概念が何故必要になったか考える必要がある。 クーロンの生きた時代やマックスウェルが電磁気学を体系化しようとした時代ではまだ数学でのベクトル解析は一般的ではなかった。 なので3次元空間を扱う場合には、3つの座標軸方向の成分をそれぞれ独立に扱う必要があった、ベクトルならひとつにまとめて扱えるのと大違いだ。 クーロンは二つの電荷の間に引力もしくは斥力が働く現象を2つの質量間に働く重力と相似していると考えて、それを実証した。 しかしその当時は2つの電荷を結ぶ直線上に力が働くということで十分だったが、三次元空間上に複数の電荷がある場合は、それぞれの電荷との間を結ぶ直線上に働くクーロン力を重ね合わせるしかなかった。 ヘビサイドが後にマックウェルの方程式をベクトル解析の手法で現在知られているマックスウェル方程式の形に書き直したことで電磁気学理論は数学的にも刷新された。 まずもってベクトルの概念によって大きさと方向をひとつの物理量として扱うことができるようになったという点がありがたい。 ベクトルの概念が無かった頃は、任意の電場の中に置かれた試験電荷に働くクーロン力を説明するために、電気力線と電束線という概念が必要になったと考えられる。 単位面積を貫く電束線の密度(電束密度)Dは以下の様に定義される。 上記が意味するところはガウスの定理で明らかになるが、電束密度は電界の式に含まれる誘電率ε0には依存しないため、それが消去された形になっている。 |
webadm | 投稿日時: 2024-2-5 16:42 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Gaussの定理 著者は何の事前定義もなく、面要素ベクトルdSを用いて、一つの閉曲面内の総電荷をQ、En,Dnを面要素dSのところの外向き法線方向への、E,Dの成分とすると、以下の関係が成り立つことをGaussの定理と定義している。
これだけだと狐に騙されているようで、納得がいかないので自分で考えてみよう。 まずもって面素ベクトルとはなんぞや? と考えると大分説明が面倒らしいので著者はそれを省いているか、講義の時に受講生に質問されたら説明すればいいと考えているぽい。 図を描いて考えてみよう。 任意の曲面上の任意の曲面座標系(u,v)を与え、面要素の任意の座標(x,y,z)は曲面座標u,vを媒体変数とする関数x(u,v)で与えられるとし、du,dvは曲面座標件(u,v)上の面素dSの向きと大きさを与えるベクトルとすると、duとdvの外積は大きさが面素の面積に等しく法線の向きと平行なベクトルdSを与える。 という意味であることがわかる。 さて上の積分等式は成り立つのかね? これも自分で確かめてみよう。 一般的な証明には座標軸毎の偏微分係数をテイラー展開して面倒くさい計算をしないといけないぽいので、簡単な点電荷Qに関して成り立つか確認するに止めよう。 問題を簡単にするために、点電荷Qを中心とする球面上の面素に対する立体角dωを導入して立体角を0〜4πまで積分することで面積分を計算することにする。 ということになる。 また電束に関しても上記の結果を利用して、 ということになる。 これでとりあえず納得(´∀` ) |
webadm | 投稿日時: 2024-2-6 7:25 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
導体 静電界中に導体が置かれている場合、定常状態では導体内には電界は存在しないが、導体の表面(導体周囲の不導体との境界面)にのみ電荷が導体内の電界を打ち消すように静電誘導によって発生すると考える。
また、導体の場合は表面の電荷分布のみで電界は表面に対して垂直な法線方向を向いていることから、表面の電荷密度をσとした場合の表面付近の電界強度はガウスの定理により以下の通りとなる。 また電荷面密度σをもつ導体表面の微少面積dSが導体内外に成す電界をE1とE1'とし、それ以外の導体表面の電荷が導体内外に成す電界をE2,E2'とした場合、微少面積dSに生じる静電張力Fは以下の通りとなる。 つまり導体内部の電界は相殺されるけど、微少表面以外の導体表面の電荷によって生じる電界によって微少表面の電荷がクーロン力を受けるため静電張力が生じるということだった。 著者は途中経過を省略しているので、どうやって導出したか謎だったが奥が深かった。 尋常でない高電圧がかかると、静電張力も馬鹿にならなくなって爆発を招くというのは有りなんだなと納得。 言うは容易いが、任意の形状の導体内の電界が打ち消されるような導体表面の電荷分布を求めるのは極めて難しい。 現実には作用反作用のようか形で定常状態になるまで瞬時に外部の電界の電気力線が導体表面に垂直になる(電界の水平成分が0になる)ように導体表面の電荷分布が変化し、、かつ導体内部の電界が打ち消されるような電界が導体表面に電荷によって発生するということになる。 なんだかだんだん難しく感じてきた(;´Д`) そもそも電気力線を描くのも難しいのに、電界中に導体を置いた場合の電気力線を描くなんて無理(;´Д`) ただし問題としては存在する。 真空中の電気力線そのものはMaxwellの論文に出てくる力線上での電界成分の微分方程式と、電界そのものを表す関数があれば、二階の微分方程式を解くことで、無数の電気力線の関数が得られることはわかるが、真空中に導体が置かれるとなると、そう簡単ではなくなる。 まずもって導体表面の電荷分布関数が未知関数になるので、なんとか定常状態で成立する追加の微分方程式を加えて連立微分方程式として解くしかない。 この問題に関しては、次ぎの章である真空中の導体系で詳しく扱うので、ここではここまでとする。 |
webadm | 投稿日時: 2024-2-7 22:40 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
基本的電荷配位による電界 これまでは点電荷を基本とした電界を考えてきたが、先の電界中に導体が置かれた場合の電界の問題が提起されたことによって、帯電した物体によって生じる電界を考える必要が生じてきた。
実際問題として任意の形状の物体を扱うことは極めて難しいため、簡単に電界が計算できるのは、球、無限に長い円筒、無限に拡がる平面、それぞれ正と負の電荷を帯びた2つの平行平面、の4つについてのみということになる。 (1) 一様に帯電した導体球が作る電界(帯電した総電荷はQとする) 球体表面に一様に電荷が分布して総電荷がQである場合には、これまで学んだ通り、球の中心に総電荷Qの点電荷がある場合と等価な球外の中心からの距離rの電界Eは以下の通り。 ここでnは球体の中心からrの方向へ向かう(球体表面に垂直な)法線ベクトルである。 著者は何故か電界の式をスカラー式として提示しているが、以前に点電荷の作る電界の解説時にはベクトル式として提示していたのととは異なっている。おそらくベクトルとして扱うと話が面倒になるので、スカラー量として扱っていると思われる。単純なケースでは電気力線が直線であることから、電界がベクトルであることは重要ではなくなるためと考えられる。 球外の点の電位Vは、その点から無限遠までの力線に沿った積分になるので、 ということになる。 (2) 表面に一様に帯電した無限長導体円筒(単位長さあたりλの電荷) 長さが無限長なので総電荷も無限大となるため総電荷は不定。 あと、円筒の半径も与えられていないためそれは未知の定数ということになる。 以外と面倒なので図を描く必要があるな。 無限に長い導体円筒表面に単位長さあたりλの電荷が分布している場合、電界は円筒表面に垂直な成分のみで円筒の長さ方向の成分はないことになる。 なのでガウスの定理を用いて、円筒の中心から距離rの円筒で囲まれた単位長さの区間について以下が成り立つ。 ということになる。ここでCは無限遠点の電位としての積分定数。 他の参考書では電界強度(En)のみを示して、電位Vには触れないのは、無限遠点での電位とか謎な要素が入ってくるからかな。 (3)一様な面密度σの無限に広い平面状電荷分布 これも電界は平面に垂直な法線方向のみの成分となり、平面に平行な方向の成分は無いとして扱える。 平面状電荷とあるので、線電荷がずらっと密に平面状に並べられたものと考えた方がいい。 図を描いて考えてみよう。 ガウスの定理を使用して下記の関係式が成り立つ。 ということになる。ここでCは無限遠点での電位としての積分定数。 興味深いのは電界強度(E_n)が距離によらず一定であるという点。これはD=ε0Eとあるように、電束密度が変わらないなら電界強度も変わらないため。球電荷の時には電束密度が距離が遠くなれば発散するため無限遠点では0になり、電界強度も0に向かうのとは対照的。 これも電位の式に無限遠点での電位が積分定数として出てくるので、他の参考書では触れないところ。数学的にはこれで合っているけど、現実的ではない。もともと無限長の電荷分布とかが現実的ではないし。 (4)面密度+σ、-σの二つの平行平面状電荷分布 互いに逆の極性だが同じ面密度の2つの平面状電荷分布が平行に置かれているケースを考える。 この場合に難しいのは、2つの平面状電荷分布の間以外は電界が相殺されて無くなるということ。また平面状電荷分布に挟まれた空間では相乗効果で単一の平面状電荷分布の際の2倍の電界強度となる点である。 ややこしいので図を描いて考えよう。 片方の無限平面状電荷分布は+σ、もう片方は-σなので、前者の作り出す平面に垂直な方向の電界をE1,E1'、後者の作り出す電界をE2,E2'とし、ガウスの法則を利用してそれぞれの電界強度を求める。 +σの無限平面状電荷の電界強度に関して、ガウスの法則で以下が成り立つ。 +σの無限平面状電荷の表(上)と裏(下)側で作り出す電界E1,E1'は電界強度は同じだが互いに逆方向を向いているため、以下の関係が成り立つ -σの無限平面状電荷が成す電界強度は同様に以下の通りとなる。 同様に-σの無限平面状電荷が成す電界は表(上)と裏(下)で以下の関係が成り立つ。 従って、2つの無限平面状電荷に挟まれた空間の電界強度は以下の通りとなる。 ということになる。 一方で、平面電荷に挟まれていない空間では以下の通りとなる。 従って参考までに、無限平面状電荷に挟まれた空間の電位は以下のとおり、 ということになる。 ここでCはそれ以外の空間の電位としての積分定数である。 |
webadm | 投稿日時: 2024-2-9 19:41 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Poisson方程式とLaplace方程式 前出のガウスの法則は積分形式だったが下記の微分形式があることが知られている。
これはどうやって導出したのか疑問が生じる。 最近の参考書ではMaxwell以前の先人の成果をなぞることはせずに、ヘビサイドがベクトル解析の表記でまとめた現在のMaxwell方程式をできるだけ早い時期から理解するように書かれているため、導出の考え方を知るのが難しくなっている。 ひとつの方法としては、以下のガウスの分散定理という式を利用するというもの。 右辺に既にdiv Eが使われているので、ガウスの法則の積分形式と組み合わせる。 従って以下が成り立つことになる。 divは発散(divergence)の略で、近年はベクトル表記に適した∇(ナブラ)との内積で表記されることが多い。 上の式を電位Vに関する式を使って書き換えると ということになる。 これはPoisson方程式と呼ばれる。 ここで電荷密度ρ=0の場合、以下の関係式が成り立つ。 これはLaplace方程式と呼ばれるもののひとつ。 Laplace方程式はLaplaceによって土星の輪の考察に関して用いられたのが最初であるとWHITTAKER&WATSON本に書かれている。 Laplace方程式の解となるポテンシャル関数は数多く知られていて興味深い。 Laplace方程式の二重偏微分演算子はラプラシアンとかLaplace演算子と呼ばれている。いずれもスカラー関数に作用する。 直交座標系以外の円柱座標系V(r, φ, z)では となることが知られている。 また極座標系V(r, θ, φ)では となることが知られている。 著者は上の式で、球の中心からの距離rのみにVが依存する場合 となり、ρ=0の場合、 となるとしている。 元々の円柱座標と、極座標系でのLaplace方程式というのは著者は付録にある公式を利用している。 基本的に直交座標系からの座標変換を伴う合成関数の微分なんだと思うけど、どうやるのかなぞっておこう。 円柱座標では直交座標の電位V(x,y,z)は以下の通りとなる。 従って電界Eは円柱座標では以下の通りとなる。 電気回路理論おもちゃ箱でさらったことがある多変数関数の微分則によって 現代の線形代数で表すと、 ということになる。 また、以下の関係が成り立つ。 これを元の式に代入すると、 線形代数で表すと、 ということになる。 一方直交座標系の基底ベクトルと円柱座標系の基底ベクトルの関係は、 上記を連立方程式として直交基底ベクトルについて解くと、 これも線形代数を使って書き直すと、 ということになる。 従って、電界Eは 線形代数を使えばもっと安全に、 ということになる。 これは予行演習に過ぎないので、本来のLaplace演算子について同じようにやってみよう。 ということになる。 Laplace演算子は∇同士の内積であることを利用して導出してみた。∇が後続する∇に作用するところが胆だった。 そういえば以前にn重多極子のところでオーソドックスな方法でLaplace演算子を導出してたのを忘れてた罠(;´Д`) まあ、あの時よりは短くて間違いも少なくてすむ。結局微分操作は必要になるので、そこだけ間違え易いのは避けられない。 極座標系でのLaplace演算子の導出は読者の課題としよう(´∀` ) |
webadm | 投稿日時: 2024-2-14 4:27 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
ポテンシャルの極値点とEarmshawの定理 ポテンシャルの極大または極小は電荷のある点だけであって、次ぎの定理が成り立つ。
定理:電荷のない空間ではポテンシャルの極大点、極小点は存在しない。 これから次ぎの定理が成り立つ。 Earmshawの定理:荷電体は静電力だけでは安定なつりあいを保つことができない。 ということらしい。 この定理の証明は演習問題でやることに。 |
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