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webadm
投稿日時: 2007-5-21 20:57
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3107
アルコールランプの思い出
小学生の頃は理科が一番楽しみな授業だった。特に理科の実験は実験室が大好きで科学クラブにも所属していた。

小学校の理科の実験で出てくる定番のものと言えば、アルコールランプに石綿金網と三角フラスコ、ビーカーだろうか。あと温度計、2球式温湿計、気圧計とかもあった。

一度理科の実験に魅了されると家に居る自由な時間にもっと続きをやってみたい気が高じてくる。

当時市内の眼鏡屋さんが理科の教材も扱っていて商品棚にあこがれの実験機材が並んでいた。眼鏡をかけている友達がその店を教えてくれた、顕微鏡観察用のガラスプレパラートとかガラス板とかを買ったのが最初だった。顕微鏡は夏休みに川崎の姉の家に遊びに行った時に買って帰ったものだ。

その店にやはりあこがれのアルコールランプが置いてあるのがずっと気になっていた。アルコールランプのあのクリーンで柔らかい炎に魅了されたのかもしれない。他のものは買わずにアルコールランプだけ購入した。問題は燃料となるメチルアルコールをどうやって入手するかである。薬局に行けばあるのかもしれないが、劇薬なので小学生でも買えるのかどうか不安だった(少し前報道された事件で小学生でも住所氏名を明らかにすれば劇薬も買えるらしいというのを知った)。

ずっとそのままに家に置いてあったが、ある時父親の店のソファーの下にメチルアルコールのラベルが張った古い薬品瓶が置いてあるのを偶然発見した。灯台もと暗しである。

さっそくそれを持ち出してアルコールランプに注ぎ、初めて芯に火を付けた。

炎が舞い上がった瞬間にやったと歓喜した。でも次の瞬間炎と共に夥しい黒い煤を帯びた煙も舞い上がった時に言いようのない失望感が襲った。

メチルアルコールの瓶に入っていたのはどうやらアルコールではなく灯油だった。

諦めずにもう一本あった瓶を取りに父の店に行くと、父がそれを見て一言いった「それには灯油を入れておいたはずだが」。

瓶に灯油を詰めておいたのは父の仕業だった。なんの目的にソファーの下に灯油を入れたメチルアルコールの薬品瓶を2本も置いておいたのかは謎だが、そのために虎の子のアルコールランプは灯油で台無しになってしまった。

私の化学者への道はこうして絶たれた。それはそれで良かったのかもしれない。

やはり子供の頃に理科の実験に化学に興味を持ち自前の実験機材を揃えて後に化学の研究者や教諭になった人を知っている。

自然の物性に興味を抱きその謎を解明するのは人類の共通の遺伝子のなせる技なのかもしれない。
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